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JST/JICA:地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)

国費留学生インタビュー

2021年9月2日、中部大学の博士課程に文部科学省国費留学生として在籍する、Witsarut Achariyaviriya氏が博士号審査公聴会で博士論文について発表しました。発表後、以下のインタビューに答えてくれました。

Q1 あなたの博士論文テーマ である”QOL-MaaS”とは何ですか?

「近年タイでは、スマートフォンで使えるGrab、Uberなどの交通アプリケーションが一般的になっており、利用者へ乗りたい時に自動車を呼べるオンデマンドサービスを提供していますし、自転車を共有できるサービス、OFOやMobikeもあります。このようなサービスをモビリティ・アズ・ア・サービス、略してMaaSと呼びます。MaaSは、利用者がより効率的に公共交通を利用でき、複数の移動手段と関連サービス(例えば、情報サービス、移動計画サービス、支払いサービス)を統合したデジタルプラットフォーム、と言えます。私の研究テーマQOL-MaaSは、MaaSのコンセプトに、個々人の幸福度Quality of Life (QOL)を組み込み、個人にとって一番良いQOLを達成するために、様々な嗜好に合わせ、一日の移動解決方法をデザイン提案することです。」

Q2 なぜQOL-MaaSに興味を持ったのですか?

「私は、QOL-MaaSのような移動を助言するシステムを開発することが、人々のQOLを改善する一つの方法であると考えたからです。今日の技術は、人々の日々の生活に大きな影響を与えています。特に、人々は移動するとき、出発前に移動時間やルートをチェックしますので、よい助言システムがあれば、人々のQOLを高めることができると思ったからです。」

Q3 QOL-MaaSを使うことで、人々にどのような便益がありますか?

「我々が開発しているQOL-MaaSは、QOLを測定するための活動と移動追跡機能があります。システムはデータを収集し解析することで、今までの人々の日課を変えて、より良いQOLを実現する解決方法を見つけます。このシステムを使うことで、人々は代替となる活動と移動がわかり、QOLが良くなる日課を見つけることができます。」

Q4 タイのQOLを高めるのに、何が一番重要だと思いますか?

「私はバンコクの交通渋滞を解消することが一番大切だと思います。バンコクは世界で最も混雑した都市の一つと言えます。渋滞の中移動することにより人々は日々の時間を必要以上失い、有益な活動をする機会を失い、移動するたびにストレスを蓄積してしまいます。私は、このような交通渋滞問題を一刻も早く解決したいと考えています。」

Q5 研究中、何が一番難しかったですか?

「交通工学の基礎を学ぶことが大変でした、もともと私の専門は情報通信技術でしたので。交通分野を勉強しつつ、急いで同分野を理解し、自分の情報通信技術の知識へ統合する必要がありました。」

Q6 研究中、何が一番楽しかったですか?

「都市交通分野の研究をできることになったことです。新しい分野について開眼しましたし、深く交通システムの問題点を掘り下げることができ、修士の時とは全く異なる研究テーマに触れることができた点が、楽しかったです。」

Q7 日本で博士課程を学んでたときの日課を紹介してください。

「ほとんど研究室で過ごしてました。朝、徒歩で大学に通い、自宅には夜9時ころ帰ってました。コロナ禍の前は、連休に多くの場所へ旅行できましたし、日本各地や海外の学会へ参加することができました。しかし、コロナによる行動制限後は、ほとんど外出はできませんでした。」

Q8 日本で生活していて、楽しかったこと、大変なことは何でしたか?

「日本は気候も良く、清潔で整然としていますし、食べ物も美味しいですので、居心地がよく楽しかったです。大変だったのは、日本語でコミュニケーションをとることです、私は日本語がうまく話せませんので。」

Q9 博士課程修了後のご予定は?

「引き続き中部大学の研究者として働く予定です。」

Q10 留学を考えているタイ人の学生たちへアドバイスはありますか?

「英語と留学先の言語を前もって勉強しておくことを推奨します。日本のように、現地語でコミュニケーションができることが必要です。現地語を使えると、研究もより楽しくなりますし、国内旅行するときも楽しく過ごせます。」